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日本図大皿

西川 治 氏 旧蔵
伊万里、径105 cm
製作者窯元・年次不明

 西川治先生が1985年に古美術商より購入した2点のうちのひとつ(もう1点は径約60 cm の皿)。東京大学空間情報科学研究センターが柏キャンパスに居を構え、国共同研究機関への昇格が内定した折に、さらなる発展を祈念して寄贈されたものである(寄贈は2005年)。

 この皿の図案は、いわゆる行基図系のものであると考えられる。行基図は僧行基(668-749)の進言により追儺の儀式に使用されたとされており、14世紀前半に成立した「拾芥抄」に「大日本国図」として所蔵されている。江戸時代の天保年間(1830-1844)には、伊万里焼地図皿の図案として製作(染付)が流行した。

 本皿の図案もその系統ではあるが、江戸時代に多く作られていた染付だけでなく、極彩色で彩られており、一般的なものとは趣が異なっている。裏面には「天保年製」と記されているものの、正確な製作年代は不明である菊の紋が描かれていることを考慮すれば、明治時代以降に皇室関係の慶事への献上品か、博覧会などへの出展のために作成されたのかもしれない。