瀬戸寿一特任講師 次世代社会基盤情報 寄付研究部門 2013- (Researchmap:: http://researchmap.jp/tosseto/

「GISと社会」をめぐる諸現象の解明

1990年代より、英語圏で注目され始めた「GIS and Society」なる研究領域は、情報技術やWebの世界的普及に伴い、多様な様相を呈している。地理空間情報それ自体に着目するだけでも、例えばWeb上でのマッピングを通じた個人的愉しみの情報や、ボランタリーな取り組みとして地理空間情報基盤にもなりうるもの、さらには自治体や政府機関が市民参画を目的に供するオープンデータに至るまで様々なレイヤーで発信・共有されつつある。これらの情報資源がどのような目的で共有され、どのような性質を持っているのかを、定量的かつ社会的背景を加味して定性的に把握することは、日常生活や社会におけるGISの意味やその方向性を検討する上で重要であるといえる。

地理空間情報に関するコミュニティの形成とデザイン

2004年に自由に利用でき編集可能な世界地図をつくるプロジェクトとして英国でOpenStreetMapが設立されたことを一つの契機として、地理空間情報をテーマとするコミュニティが様々な取り組みとしてグローバルにあるいはローカルな活動としても成立しつつある。これらの活動は、参加者の自発性を盛り上げる仕組みづくりや初心者のためのイベントをデザインし、情報共有を容易にするプラットフォームも開発・運用するなど、独自のコミュニティやカルチャーを築きつつある。

「参加型GIS」のまちづくり活動への展開

上記のような諸活動は、GISを駆使して多様なステイクホルダー(市民)を政策的な意思決定に参画させる「参加型GIS」のフレームワークを構築する上で参考となりうる。近年では、ソーシャルメディアなどを活用した地域の深部に渡る観光情報を発信する取り組みや、ITを駆使した地域の問題解決が試行されつつある。特に日本においては東日本大震災を契機に、復興あるいは将来の大規模災害に対応する防災・減災をテーマとする地図づくり・コミュニティづくりが積極的に進められている。したがって、まちづくり活動におけるGISや地理空間情報がどのように活用できうるか、あるいはその効果検証の方法論を構築することが喫緊の課題といえよう。