中村和彦特任研究員 2013- (個人ページ:: http://home.csis.u-tokyo.ac.jp/~k_nakamura/

森林映像アーカイブを用いた広域長時間規模環境学習の推進

自然環境について学ぶうえでは、広域長時間規模の視点を持つことが重要となります。しかし、フィールドに出て直接的な体験をするにしても、学校等で教育を受けるにしても、ごく限られた時間の中で、広域長時間規模の自然環境事象を扱わねばなりません。

映像を用いることで、短時間のうちに広域長時間の変化を擬似的に観察できます。そのような映像教材は、学術的に正しく、かつ教育効果を有することが求められます。この両立を実現するために、学術利用を目的として蓄積・公開された森林映像アーカイブ(東京大学秩父演習林など)を素材として、学校教員と協働での教材開発を行い、望ましい開発方針を検討しています。

サイバーフォレスト情報基盤の構築

学術利用、教育利用のいずれにおいても、映像アーカイブが広く一般に公開される必要があります。公開されることで、内容に疑問が生じた際に、誰もがいつでも確認し、検討や議論が行えるからです。これが、インターネット上の森林「サイバーフォレスト」の構想です。

インターネット上での公開は、手軽に多くの人々に対して公開できる反面、公開の永続性が確保されにくいです。学術機関リポジトリといった、従来の永続的インターネットアーカイブの取り組みとも連携しながら、情報基盤の構築に取り組んでいます。

映像記録による樹木フェノロジー観測手法の検討

森林映像アーカイブを用いて観察できる環境変化で、特に時間規模が大きなものとして、樹木のフェノロジー(季節変化現象)があります。フェノロジーは古来、農作業の時期把握のための指標や、文化人の風流の対象として、多くの人の注目を集めてきました。近年では、地球規模の気候変動が動植物に及ぼす影響を把握する目的で、より一層の注目を集めています。

しかし、フェノロジーの観察は人間の感覚(主に視覚と聴覚)によって行われてきたため、過去の観測結果に人的バイアスが含まれる可能性があります。映像アーカイブを用いた観測によってより客観性の高いフェノロジー情報を蓄積し、自然環境に関する研究と教育のための基礎情報として提供していくべきと考え、東京大学秩父演習林にて観測手法の検討を継続的に行っています。