小林 博樹 講師 空間情報工学研究部門 2016-   (個人ページ:: http://www.csis.u-tokyo.ac.jp/~kobayashi

環境問題の解決支援として、情報空間と生態系が分かちがたく一体化し、全体として高度な情報処理を実現するシステムを研究している。

僻地サウンドスケープの景観志向なリアルタイム共有システムの研究

現在、人間の生活圏の拡大や自然開発の活発化に伴い、絶滅危惧種の増加や有害鳥獣類による農作物被害、放射能汚染など人間社会の利益と生態系の保全との衝突が深刻な問題となっている。人間が生態系に物理的に接触すれば生態系の破壊は不可避であり、生態系保全には物理的な分断がもっとも効果的な手法である。本研究では、通常のコンピューターの動作が保証されない超高温多湿の環境下や、電源や情報インフラがほとんど存在しない僻地空間のサウンドスケープを、リアルタイムに配信するシステムの設計・開発・運用や可視化・アーカイブ方法の研究を行う。

野生動物を用いた伝書鳩志向な空間情報センシング機構の研究

近年、コンピューターや無線通信デバイスの小型化、軽量化が進み、ウェアラブルコンピューティングの実用性が高まってきた。次世代インターネット(Internet of Things)では人や物や木の葉っぱ一枚からネットワーク接続されると考えられている。これまではこのような動植物をインターネットに接続する構想は実現不可能な冗談構想だとされていた(例:RFC 1149“鳥類キャリアによるIP データグラムの伝送規格”等)。本研究では野生動物装着型センサノードの伝書鳩指向な空間情報センシング機構の実現を目的としている。従来の野生動物装着型センサはその厳しい重さ制限から高度化が困難とされていた。そこで、動物の集団行動や帰巣本能を利用した「動物間ネットワークシステム」や「動物用ワイヤレス給電システム」で解決を試みる。この場合重要なことは、単なるセンサの小型化や高度化ではなく、情報技術の短所を動物行動の長所で補うことで、過酷な生息地環境に最適化された空間情報センシング機構を実現することである。

自然環境との一体感を創出する禅志向なインタフェースの研究

人間が生態系に物理的に接触すれば生態系の破壊は不可避であり、生態系保全には物理的な分断がもっとも効果的な手法である。しかし、自然遺産や天然記念物は観光産業や農林業と密接に結びついおり、完全な分断も不可能である。本研究ではリモートセンサを統合し、遠隔地自然環境とユーザーの間に一体感を創出するインタフェースを提案する。この手法では、ネットワークを利用し遠隔地からの自然環境音の情報を実時間で取り入れることで、癒されるシステム実現を目指している。科学技術の進歩により失われた “自然との一体感“ を情報技術により取り戻すこれまでにないデザイン研究である。


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