今井 修 特任教授 2005-

1995年の阪神淡路大震災以降、市民参加活動(NPO)の活発化に伴い、研究者の支援によるGIS利用が国内でも始まった。本来、GISの持つ地域情報の視覚化機能により、地域活動に関する情報の収集・伝達・発信を容易にする道具として大きな可能性を持つ。米国では、既に2000年ごろより、GISと社会をテーマとした研究の中で特に市民参加を中心として「参加型GIS(Participation GIS)」という研究分野が確立しており、我が国の実情にあった研究が求められている。そこで、これまで実施されてきた市民参加団体を調査し、その利活用に関するモデル化を行ってきた。特に我が国では、GIS以前にICTの取組そのものが、市民参加活動とは結び付いておらず、現場で活動することに注力され、そのための情報収集や情報発信にICTを活用することができる団体は限定されている。そこでGISを導入しやすい分野として子どもの安全・安心分野におけるGISを用いたツール開発研究を行うとともに、開発したツールを用いた自治体、市民向けのGIS活用人材育成プログラムを作成し、その内容を進化させてきた。

子どもの安全・安心に向けたGISの活用に関する研究

子どもに対する悲惨な事件をきっかけに、子どもの安全に対する国民的な関心が高く、警察だけではなく、PTAや自治会が中心となった防犯パトロールが全国で実施されている。そこで、平成19年度より平成23年度に向け科学警察研究所(犯罪行動科学部)を代表機関とする「子どもの被害の測定と防犯活動の実証的基盤の確立」プロジェクト(社会技術研究開発センター)に参加し、GPSを用いた子どもの行動調査に関する内容、WebGISを活用した情報の収集、配信システムの構築を行ってきた。

GIS活用人材育成の研究

地理空間情報活用推進基本法が施行され、平成20年4月には、地理空間情報活用推進基本計画(〜平成23年度)が公表され、現在その計画に沿って様々な施策が遂行されている。その中で第U部第1章「4.人材の育成」として、「空間的な思考を行える人、地理空間情報の活用を企画できる人材などの多様な人材が必要となる」ことが示され、国土交通省国土計画局における自治体向け人材育成プログラムに参加し、具体的な教材開発、全国8か所における講習会に講師として参加してきた。特に自治体においては、これまでの地図作成に関する知識から、活用に向けた意識改革や空間的思考を中心とする学習内容の教材、講習会を実施することにより、参加者から高い評価を得た。